【雪模様でのウェーディング】私が感じたフェルトソールとレイヤリングのお話し。
今から35年前。21歳で元気だけが取り柄だった私は大怪我で柔道が出来なくなり魚釣りばかりの大学生活をおくっていました。
京都に住んでいて、初冬までは真夜の由良川でシーバス狙い。年を越すと奥琵琶湖(湖北)にフィールドを変え、50up以上しか興味のないウェーディングでのラバージグによるコアなスタイルでこれも真夜中に狙っていたものです。
どちらも真冬、特に湖北でのバス釣りは積雪が無いと釣れないという狙い方をやっており、寒さとの戦いでもありました。
学生時代だから簡単には道具も買えません。ウェーダーは乾く暇がないほど履き続け、フェルト貼り替えも当然自分でやっていました。
週に5回以上穿いていて(さすが学生)穴あきによる水漏れも当然直しては使い、直したら他に穴が開いて…なんての日々。
夏になるとライギョのウェーディング、琵琶湖大ナマズのウェーディング、と一年中ウェーディングをしての釣りでした。
オフショアゲームも重なる様に始め、船の魅力に取り憑かれてからは船代を確保しなくちゃならず、ウェーディングの釣り時間はバイトに明け暮れて…。
こんな学生時代から社会人最初の頃を過ごしてきて「釣り」スタイルも少しずつ変化のあった時代でした。
この頃に釣りをやりたいだけやり、良くも悪くも釣具屋に就職までしてしまい、そのまま釣りが生業になってしまった。
琵琶湖や由良川での経験がいきてくれましたが、そこからは更に海外にも狂い出してしまい、いつしかウェーディングスタイルは遠い記憶の中の釣りに変わってしまっていたのも本当のところです。
先週まで、北海道トラウト今年ラストの行脚をやってきました。道北は北海道の中でも特に寒いエリアです。
この地でウェーディングをしての魚釣り。道内の釣り仲間に相談するも「ネオプレーンは必需ですからね」と半脅しの様な返事しか返ってこない。
今更ネオプレーンのウェーダーを探すのも…。きっと私の足のサイズに合うものなどないだろうし。
困り果てていたタイミング。SNS等の海外トラウト動画を観てみると、積雪のロケーションでゴアテックス素材のウェーダーで普通に釣りを楽しんでいる。
「外人は、寒く無いんかい?」とまで考えてしまった。
これについて、道北エリアでフィッシングガイドをしている方に相談したら、レイヤリングさえしっかりすれば、問題なく真冬の北海道で釣りが出来ますよ、と動画を添えて教えて下さった。
その動画は膝上まで埋もれながらスチールヘッドを釣っている極寒の動画だったのでした。2人で釣りをしていて、二人共にゴアテックス素材のウェーダー。
これは気になる!といよいよ直接本人に連絡してみたのだ。
「しっかりと保温力の高い靴下、ネオプレーン生地の靴下がよい。それに高性能のインナーを着用し、その上からキルト調のパンツを穿く。」と。
えっ、これだけで良いの?と本心疑ってしまった。
これじゃあ保温力は保たれないのでは?と思ったのですが、そこはプロの言う事を信じよう。こうして手持ちのウェーダーで道北に乗り込んだのでした。
●結氷直近 平松スタイルのレイヤリングは⁉️
「もし寒過ぎたら、ホカロンを足に貼りまくろう」と持参したホカロンをまずは貼らずに言われた通りのレイヤリングで下半身を固めた。
雪が残り草が全て枯れた河川敷からアプローチ。「寒いだろうなぁ」と思いながら入水。
流れを読みながら釣りやすい位置を見つけてダブルハンドでフライをキャストする。
ルアーならアップテンポで次々と足を使っての釣りスタイルになるが、フライフィッシングはそうはいかない。ゆっくりゆっくりポイント移動をしながら釣り動く。
それもずっと膝上位置での動きが中心。釣りに集中していて、例年までの寒さ、というか冷たさがあまり感じられない。
例年よりも今年の気温、水温は間違いなく低い。違うのはレイヤリングだけ。これには驚いた。
明らかにウェーディングしていて身体の冷え方が違っている。レイヤリングだけで、ここまで違うのか…単純に興奮したのでした。
寒さからの辛さはこれまで何年も経験し、インナーはあれがよい、これはどうだろう、とトライ&エラーを繰り返してきた。
「着膨れ」になりながらのフィールド活動を経験し、自分なりに考えながらインナーの組み合わせをして取り組んできたつもりであったが、今回は『目から鱗』だったのでした。
下半身の水中に浸かる位置の保温を見直した。つま先、足首、ふくらはぎ、膝上。
●厚手ソックス〈メリノウールソックス〉の旧モデルをふくらはぎまで履き、その上からインナーを穿く。
●〈キャプリーン・サーマルウェイト・ボトム〉の前モデルを穿く。
●その上から〈ナノパフ・パンツ〉を穿く。
●最後に〈ユーレックス・ウェーディング・ソックス〉で再び足首をしっかり保温して完了。
●上半身はインナーにフリース、SSTジャケットで対応。
これが積雪時に対応したレイヤリングでした。
実際にフィールドで得た感想は「これまでの保温力はなんだったのだろうか…」というのが感想。保温力を維持出来ていれば、釣りに集中できる。
寒くてたまらなかった昨年や今年の晩秋は釣りの手を止めて震えていたりした。しかし今年初冬の釣りは雪を踏み、ポイント移動時など汗ばむくらいでもあった。
外気温、水温、共に今回の方が間違いなく低い状況でありながら寒がりな私をここまで守ってくれたのは完璧だと思うレイヤリングだからだろうと感じました。
これまでの着込み方(レイヤリング)が間違っていた。もしくは製品(インナー等)の品質や合わせ方のミスで着ている事の無駄があらためて感じ、次回からの参考にしていくのでした。
ネオプレーン生地のウェーダー。これはきっと便利だと思います。
ただ今回、今年春に使ったネオプレーン素材のウェーダーの保管方法が間違っていたのか、春に新品だったネオプレーン素材ウェーダーの折り曲がり位置からの水漏れがあった様でお客様は大変な思いをしていました。
ゴアのウェーダーの保管方法も気を使っていますが、ネオプレーン素材ウェーダーは更に気を使わなくてはならないのでしょうね。
吊るして日陰で保管、これが一番でしょうが場所を多く取りますしね。ウェーダーの保管方法も今後気をつけていきたいと考えています。
●フェルトソールの恐怖体験‼️
結氷直近のフィールドは辺りが積雪となっており、春や夏時期の様な「草ボーボー」ではなく、草は枯れ、木に広がる葉は落葉し見渡しが良いのがシンプルに気持ちよく感じました。
シカが見え、キツネが走っている。動物の存在が確認出来るのは山に入った我々としては有り難い事。
しかし、積雪を歩く事の注意を甘く見ていたのが今回実体験で得たので書き残しておきます。簡単に言えば「初冬積雪時のフェルトソール行動は地獄だ」と。
雪に慣れていない関東エリアのアングラーは雪を踏みながら釣り場に入るだけで実はワクワクします。雪に覆われた大地は歩きやすい…と、積雪フィールドに慣れてきたタイミングで恐怖を知ったのです。
そのポイントは緩やかな傾斜があり、それを降って入渓します。
見ている先は、エントリーしやすそうな場所。そこに向けて進む様にするのですが、降りは慎重にフェルトソールのエッジを立てながら進んでいく。
戻りも雪の踏み跡に沿って戻れば問題なく傾斜位置までいけたのですが、ここからが地獄だったのです。
川から上がり、積雪を踏んで歩くフェルトソール。少しずつフェルトソールは雪が重なるのか、もしくはフェルトソール自体が凍ってしまうのか、で全くグリップが効かなくなってしまった。
最初は「歩きにくいなぁ」程度だったのですが、その積み重ねで雪が雪を拾い分厚くなり歩行の度に雪をコンコン叩きながら落として歩かなくてはならなくなった。
更には、積雪の下に埋もれているのは枯れた草類。登りで2度、3度と膝をついて転けたタイミングで掴もうとしても、枯草の朽ちた茎なだけに瞬間に切れてしまう。
土手が登れない。焦ると足場が抜かるんでくる。更に土手はツルツルになってしまう。上がれない、横にズレてもフェルトソールは全く大地を噛んでくれず、ツルッツル…。
何度もトライして登ろうとしても、いよいよラチが開かなくなってきた。
最終的には笹の茎を見つけて上腕で登って難回避したのですが、今回の釣行で強く感じたのは「フェルトソールは私には合わない。使えないなぁ」だったのです。
夏場に傾斜位置で感じたビブラムソールのグリップ効果が頭にあって、それを履いていない自分に後悔した。
雪のない、滑りにくい石の川原ならフェルトソールで問題ないが、私の様に色々なフィールドでオールシーズン使いまくる様なアングラーにはおすすめ出来ないなぁ…と感じたのでした。
フィールドで体験した恐怖。熊や鉄砲水とかではなく、ギア選択ミスから体験した恐怖は今後のギア選択を考えるよい経験だったと思いました。
来季はビブラムソールで対応をしますが、もう積雪時のフェルトソールは懲り懲りだと実感したのでした。












