【アングリングvol.156〜北海道・道東編 北のレインボーに挑む】1999年11月1日発行
少しカビの匂いがする誌面を破らないように1ページずつ丁寧にめくっていく。
目を見張るような斬新な広告がまず飛び込んできて、その当時「広告を見て胸をときめかせる」喜びで楽しみにしていた。
各メーカー雑誌掲載する広告の意気込みはネット社会でない現在だからこそ生きていたのだろう。「こんなルアーがリリースされるんだ」「このロッド斬新だなっ」東京の出版社が発行する雑誌の毎月の重さは釣具店で仕入れをする側(当時もその仕事です)も気を張ってチェックするようにしていた。
今だからインターネットの情報で簡単に最新ニュースを入手することが出来るし、予測しながらネットで探すことでそれに属する情報に繋がって大まかな情報が手に入りやすい時代になった。「ネットに落ちてるから、拾えばいいし、ね」が当たり前のルールになって来て、雑誌で解説されていたビミニツイストの図解など今じゃ必要ない。
PRノットがわからない、となれば、ボビンを巻くチカラ加減はYouTubeで観た方が間違いないし、もしPRノットを図解と文章で表現してくれ、という原稿依頼が今来たら、相当に文章で悩むだろうし、YouTubeの動画を観ながら文章を考えている自分の姿が簡単に思い浮かべられる。
そんな時代だから雑誌を開いた時に飛び出してくる広告力も難しさは大変なのだろうな、と最新版のソルトワールドと今回紹介する古いアングリング誌を観ながら思ってしまった。
当時メインスポンサーであった「スポーツザウルス」社の広告が私は好きであった。テスターで掲載されるから、だけではなくそれも有ったがそれ以上に新製品の報告の仕方が斬新。
例えば今回のアングリングをチェックしても、ブラックバスのビデオが発売されるからその広告を見開きに入れ、そして次はインジェクションのシーバスミノー。シートプスを使ってテスト時に伊豆のヒラスズキを狙いに行った事があった。それもサラシをボートから。
スポーツザウルスのテスター、モニターさんは各都道府県で頗る猛者が存在し、磯を泳いで釣り歩く様な達人がたくさん存在していた。私がなぜその「シートプス」にテストで使われたかというと、これまた面白い話で私は船での釣り(バランス)は良い。磯からはよく飛ぶ、よく動く、よく釣れる、というテストは十二分に結果が出ている。
オフショアアングラーでも使ってもらえるかどうかをちょっと試して欲しいんです、だから今回お願いしたんです、と当時のザウルス広報から言われた事を覚えている。
開発の方と広報の方、営業の方と行ったのだが、一番上手いなっと思ったのは開発の方でしたね。さっさとヒラスズキ釣ってましたよ。狙い所も優れていたし、やはりザウルスの研ぎ澄まされたルアーの開発をいくつもして来た方なだけに釣りも長けている。そんな見方をしていたのでした。
その次のページをめくると、これも開くまでは覚えていませんでしたが私が見開きで使ってもらっていました。
「PEライン」がオフショアゲームで定着し始め、これまでのカーボン素材では強く伸びの少ないPEラインでのゲームが成立し難く、より使いやすくより最新な技術、テクニックで釣りのゲーム性を高めたい、と各社必死の時代だったのでそこで私も開発に加わったのです。
「PE58」これ相当売れたはず。私の現在のワンピッチジギングスタイルもこの頃確立されて来ている時期。人気機種だったと思います。その後、キャスティングでロッドでPE専用としてうたった「キャスティングPE」シリーズもまた広告が掲載されている雑誌の紹介になった時に当時の様子を語らせてもらいますね。
さて、今回のカラー掲載は奄美大島のワールドマリン奄美で福井健三郎キャプテンガイドの徳之島釣行。
トカラ、宝島にいた時から知り、その後奄美大島に移り住まれた福井さんがガイド。GT狙いでキャッチしたのはイソマグロ32kg。これも懐かしいツーショットでしたね。
激しく釣り歩いていた時代なだけに思い起こせば、「そうだった、そうそう…」と記憶が蘇るのだがなかなか20年以上も前のネタは記憶がすぐに出てこなくなって来ている。
こうして過去の資料を残すために公開するようなページを作り、よかったと思う。
ワールドマリン奄美はジギングだけでなくキャスティングでもよく通った場所なので見返してみると思い出が次々とリバイバルされる。最近、奄美行ってないなぁ…。笠利町とか変わったのかなぁ〜そんな思いを誌面を開いて考えたのでした。
【データ】
誌名:アングリング vol.156
出版社:株式会社廣済堂出版
編集長:伊藤 裕
毎月26日発行
1999年11月1日発行