【サクラマスのタグ付け放流する理由】私の想い。バックリミットの大切さを唱えたい。
今年頭から動き出した事として《サクラマス(アメマス)タグ&リリース》がある。
日常的にブリやカンパチ、ヒラマサなどへJGFA標識タグを打ち、放流業務を行っているが、淡水魚であり降海して再び遡上する魚への海からのタグ打ち、そしてリリースは私も悩む部分が最初あった。
北海道エリアに於けるサクラマスの捕獲対象エリアは海域と、河川河口部、沖への四方で1km以内まで。わかりやすく言えば、「川ではサクラマスを釣ってはいけないですよ。」と言う事なのです。サクラマスは河川漁協や民間団体等がヤマメの稚魚放流を行っており(一部地域は未定)人為的保護のもと、増やされている魚である。
※詳しくは、下段《北海道フィッシングルールブック》参照のこと。
サクラマスはヤマメが川から海に降ってからの名称で、アメマスはイワナが海に降ってからの名前。河川から海に降り、捕食をして体力を付け、産卵の為に川に戻る。
その際、鮭の様に、降った川に戻るのではなく、サクラマスは河川を選ばずに遡上し産卵するのだと聞いていた。事実がそうであり、水産試験場や漁協も調査管理でそれは明らかにされており、詳しいアングラーなら知っている話だ。
特に北海道のアングラーは食卓にも並び、冬場にバケを振り伝統漁法でサクラマスを釣る文化があるので、みんなわかっている内容だと思う。
私も新参者ながら、北海道エリアのサクラマスジギングに取り組む様になり、それら事情もゆっくりだが頭に入れ始めている。
毎年12月後半頃から太平洋側からスタートするサクラマス釣り。太平洋側(白老エリア)ピークは2月と現地漁師さんや遊漁船主さんなどから聞く。太平洋側から季節の変わりで2月中旬位には日本海側が釣れはじめ、続いてエリアを変え、私も積丹半島でサクラマスジギングを楽しませてもらった。
積丹半島は3月中旬になると、サクラマスを追ってイルカが入り出し、ローカルアングラーの狙い方がバーチカルなジギングスタイルから層や表面回遊までを意識した狙い方に変わる。こうした狙い方も釣り人の増加により、より多くの思考、知恵が混ざり合いフィールド時間を長くさせてくれる様になる。
潮流がGPS漂流認識物で表すと、積丹半島から稚内岬を越えオホーツク海に入っていく流れと、地球の地磁力による、再び反転流になる太平洋側からの回遊があり、知床半島手前でオホーツク海の海水温が流氷の動きと合わせて上がるタイミングで入って来ると言う説もある。
私は、オフショアサクラマスゲームを通じて、北海道エリアに於ける、このサクラマスの行動がどうしても気になり始めた。
12月後半から釣れ始める太平洋側のサクラマスは、その後、太平洋側の河川に行儀良く遡上して行くのだろうか。月齢引力、海水温、潮流といった様々な要素から、もしかしたら大きな群れの中で移動し始める個体もあるかもしれない。その個体の足取をたくさんの「点」でスタートするタギング(タグ打ち)で「線」に繋げ、行動範囲やルートを知るきっかけになるかもしれない。
海水温が潮流に混ざり合い水温上昇がもしもあるならば、次のフィールドへとサクラマスは居心地良い潮流に甘えて動くかもしれないし、新たなる捕食物を求めて移動するかもしれない。
ピークス社出版《ソルトワールド》冬時期に3回に渡り、特別寄稿で北海道エリア別のオフショアサクラマスゲームを書かせていただきました。
文章を書く為への取材、学び、研究は私なりにやって感じた事がこの海のサクラマスの動きになるのです。
3つの海域に囲まれた北海道。その広大なるエリアを半年間に渡り動き取材を続けるにあたり、今季への課題や新たなる研究材料、疑問、確認、などが増えるばかりになりました。
サクラマスを釣る為の術は、私を含めたいわゆる釣りプロの発表から発信され、拡大していき文化のひとつになっていきます。
しかし、主役であるサクラマスの資源、行動、環境、など様々なこれからも守り抜いていかなくてはならない事や、新しい提案なども広めていく義務があります。
サクラマスゲームが成立する北海道の環境下は海。その海が舞台となり、次への子孫保護、環境保全となる動きはやはりやっていかなくてはならないだろう、と私は危機感として警鐘を鳴らします。
漁協が決める、いわゆる《一日の定数》とはアングラーに与えられたバックリミット。
しかし、この定数と言われるバックリミット制も、地域によって区々なのです。《定数が無いから、釣った分、全て持って帰る》と言う動きを全否定するのではなく、来年もまた釣りが出来る環境を繋げていきたいから、バックリミット《定数》を決めようよ、となるのが将来的な願いであるし、ね。
更にいえば、北海道全土(全周)に於けるサクラマスの釣果バランスの違いが水温だけなのか、雪シロから感じる海水の影響なのか、もしくはサクラマス自体が回遊しているのかと言う事を知りたいのです。
また遡上するサクラマスの砂防ダムなどによる産卵床へ辿り着けない場合の苦難や環境把握、河川から上がる先の部分もアングラーとしてだけでなく、サクラマス(アメマス)と言う資源への責任にもつながっていくと感じています。
5月、道内河川でニジマスを狙い、不意に見かける遡上サクラマス。触る事なく観察しているが、「このサクラマスはどの海域にいたのだろう…」と私は強く感じてきました。
川も海でも、サクラマスに思う感情は同じ。これからもずっと共存していきたい。人間のエゴや人為的殺略になる様な方向性に繋げてはならない、大量捕獲による部分から守る子孫保護を唱えていく時期に来てるのだなぁ、と私は動き始めています。
北海道の歴史ある文化を大切にし、その垣根が壊れない様に今年も有言実行、積極果敢にサクラマスタグ&リリースを続けていこうと動いています。
●参考資料《北海道の河川等フィッシングルールについて》
こちらからルールブック等を入手されご確認することが可能です。
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/ggk/ggs/new/turi-osirase/top2.html
●《ジャパンゲームフィッシュ協会(JGFA)》
タグ&リリースへの理解、説明などが詳しく記されております。
https://www.jgfa.or.jp/tr/index.html