釣ったブリ、ヒラマサにJGFA管理の魚類認識タグを打ち海に戻してあげる(リリース)行為を「タグ&リリース」と称して魚類行動の把握に役立てています。
水産庁が管理するGPS付き電子タグはマグロなど行動ルートが広く、また商業価値の高いものに打たれたりしている事は知っています。
ブリや鮭などにも専門家や学者さんらは使い、研究調査をしていますが、我々のレベルでは扱いは無いです。
電子タグであれば、魚の行動が線で描かれ、GPSで管理されているので一目瞭然ですが、ビニールタグは、点で表すもの。点と点を増やし重ね合わせていく事でひとつの点が繋がっていくのがデータになっていきます。
これを毎回私達は行っており、今回もタグ&リリースをしてきたのでした。
タグ&リリースの特徴は、タグを打ち海に戻した魚類が確実に海で生きてられる環境(状況)を取る、ことが最大の課題です。
釣れた魚を直ぐにタグ付けしリリースする。これの再捕獲率よりも、釣れた魚を生簀(イケス)内に泳がせ、釣られた時のストレスやパニックなどを抑えるためにもコンディションを整えてからタグ付けして海に戻す事が大切になってくる。
生簀を持っている船であれば、私の経験上、魚のコンディションを整えてからのリリースは再捕獲率も上がる。または海水ポンプを利用して蘇生出来る環境なら、魚の事を考えてるなぁと感じてしまう。
オホーツク海(常呂沖)でブリを狙った際にプレジャーボートサイズでの釣船に乗船した事がある。この船は海水ポンプを上手く利用し、スポンジをひきブリを釣った際の蘇生を完璧にしていました。
ここでタグ&リリースをしたブリが本州で再捕獲されたデータも返ってきています。
タグ&リリースの絶対条件は、戻す魚のコンディションをいかに最大にするか、に尽きると思います。また、降海型魚(サクラマスやアメマス)のタグ&リリースにも新たなチャレンジとして取り組んでいます。
北海道内で行っていますが、中にはリリースに良くない意見も陰から聞こえてきました。「無駄だ」「サクラマスのタグ付けに意味はあるの?」等。
私の前では行動を賛同している顔をしていながら、陰でこういった言葉を出している方も実際にいました。今はお付き合いは無くなりましたが、これも正直な話です。
アングラー全員に理解してもらいたいのは無理だと思っていますが、やはり限られた資源で釣りを楽しませてもらっています。バックリミットを守らない鮭釣りのライセンス制度内で船長がいる事も耳にしています。
釣りを楽しみたいならば、未来に繋げていく行動は本当に今やらなければ、先が無いと警鐘を鳴らしたい。
まだ私が若い頃、それこそ30代前半にタグ付けを推奨し行動に移していました。意味のない行動、と何度も言われた思い出があります。
それから暫くはタグ付けをする事はやめて来ました。しかし、これだけ長くオフショアゲームを続けてくると、フィールドの荒廃が明らかに見えてきます。
「昔は釣れた」「前は凄かったが」この言葉を聞く事だけでなく、私自身がフィールドに立った時に海からの強いメッセージを感じたからです。
どんどん海は変わってきています。たった30年程度の私のキャリアでも感じてしまう程。
食べる分の魚は、美味しく食べよう。それを越えた行動に情けなさを持ち、次の世代に豊かな海を繋げていきたいと願っています。
タグ付けしたブリやヒラマサ。どこで再捕獲されるかを楽しみにして、次のフィールドでもリリースを続けていきたいです。
【2023年1月対馬でのリリースデータ】
加藤達也さんブリ21本、ヒラマサ4本
平松慶 ブリ11本、ヒラマサ4本
タグ無しリリース、20本以上。