【小倉ナイト】陽の沈まぬ熱い街は昭和風情に酔いしれる。後編
化他(ケタ)タマしいネオン管、行き交う人達、笑い合う声の街を抜けシメの「おでん」へと向かう。
小倉での「おでん」文化は相当なものだと入江さんは教えてくれる。
若い頃、仕事終わりに飲みに行く前におでんを軽く食べ、そして飲み屋さんに向かうのだ。と教えてくれた。また飲み屋でしっかりと飲み、最後のシメにアルコールなしの「おでん」でその日を終えるのだ、とも教えてくれる。それが小倉の「おでん文化」なのだそうだ。
しかしここ数年はあれだけあった屋台がどんどん無くなり、増える事もないと言う。保健衛生で屋台は許可が今は降りないのだそうだ。それも「昭和な雰囲気」がどんどん無くなっていく姿で寂しさを覚える。
ヨチリヨチリと大人ふたりはスマートフォンの地図アプリをみながら歩いていく。
「確か、この辺りに移転したはずなんですが」とスマートフォンの画面と辺りの景色を見比べながら道先案内人する入江さん。
二軒目の日高さんのお店では軽く飲んだはずだったのだが、やはり身体は酔いを感じていた。
現代機器をうまく使いこなせず当時の記憶と地理感だけを頼りに補助的感覚でスマートフォンの画面を確認してヘラヘラと笑いながら向かったのは北九州市小倉 香春口にある【おでん ささ屋】さん。
ビニールに囲まれた店内には我々だけであった。
「ついさっきまで満席だったですよ。お客さんらはタイミングが良いですよ」とお母さんが言う。
入江さんは駅前での屋台時はよく【ささ屋】さんを利用していたが場所が変わってからは初めてなのだと言う。
目の前には特大鍋がどかっと置かれ、鍋を囲む様に我々は座った。そこには何種類ものおでん具が浸かっている。
「どれにしましょ!」
ハキハキした言葉使いで気持ちよく酔っている我々に聞く。小生、こんな環境でおでんをいただける事でも嬉しいのに具合をみると今まで食べた事の無い「おでん具」がたくさん浮いている。
定番のタマゴや大根、シラタキに厚揚げ等は今夜は遠慮し、初物中心でおでんを楽しむ事にした。
「菜の葉」「椎茸」「スジ」を最初にいただく。
驚いたのはおでんの具材で「菜の葉」。フレッシュな状態で置かれていて頼んでから鍋にくぐらせ、少し支那っとしたら出来上がり。
これは美味しかった。少しの苦みがあり春の気配が感じられる味でホッとする。「椎茸」は干ししいたけを戻したもの。味が濃くギュッと凝縮された椎茸の味に満足。
そんな具材の味が鍋に染みているので定番「スジ」も1本いただく。「柔らかいスジ」と「固いスジ」があり今回は「固いスジ」にした。
ここで気付いたのだがメニューにアルコールの持ち込みが少量なら可能、と書かれており入江さんが近くのコンビニへ買いにいってくれた。居た迫り尽くせりに【感謝】である。
入江さんがアルコールを購入してきてくれ、さらに具材を注文した。
「キャベツの肉包み」「フキ」「しめじ」「砂ズリ」「タケノコ」どれも小生は初めてであり、お野菜中心のおでんを満喫したのであった。
おでんやに長居は無用。
美味しいものをさっと食べ、そして酔いを覚ましながらの場所。これが小倉のおでんだと教えてもらい気持ちよく帰ったのでありました。
おでんやの旦那さん、女将さん、本当に良い方で昔の屋台おでんの時代からのお話しをしてくれました。
「まだまだ続けますよ。たくさん写真撮って」と言って下さった言葉に職種は違うけど自身も商売をしている身。
頑張ろう。こうやってひとりでもファンを増やし、愛され続けられるお店にしたいとつくづく感じたのでありました。
入江さん、本当に楽しかったです。ありがとうございました。古くからの恐竜繋がり【ご縁に感謝】です。押忍!
前編〜後編と食ネタもこれで終わり