【おじさん’s GW直前緊急稽古⁉️】全国柔道高段者大会エントリーで。ラストは追い込み。
今や毎月恒例となった、仲間内おじさん達が募って柔道稽古をする《おじさん’s柔道稽古》がGW直前の休日を利用し行われた。
福井学先生が稽古リードをして下さり、中高校生指導の《福平塾》も兼ねて。
毎度お世話になっている湘南宮本塾道場をお借りして休日朝からワイワイやっているのだが、今回も横浜市内の中学生、光明学園の有志、東海大柔道部の面々も参加。
特に今回は、4月28日に行われる「全国柔道高段者大会」を控えたおじさん達も多数いるので、熱気ある稽古が行われたのだ。
「全国柔道高段者大会」は、年に一度の全国から集まる高段者の先生方が昇段の為に試合をする。嘉納治五郎先生の命日に因んで開催されてきる由緒ある高段者の方々の大会で、五段以上の先生方が講道館ルール(現在の柔道はIJF国際ルール)いわゆる、昔の柔道ルールで闘う試合。
私も昇段を意識しているので、毎度参加させてもらっているが、今回の《おじさん’s》参加のおじさん達も毎年講道館で顔を合わせている仲間。
これまでは、段位の試合時間も関係なく、講道館アップ会場として開けて下さっている教室道場で朝から乱取り等が出来たのだが、近年のコロナ禍影響で段位別に入場規制があり、和気藹々とアップ稽古、と言った動きが出来ない状態なのだ。
だから、直前の休日を使い、今回の稽古時間を設けられたのです。
いつもの様に礼から始まり、全員で道場内を走る。回転運動からは、細かな指示を福井先生が出しての反復稽古。この日の湘南地区気温は25℃を越える予報。気温が上昇するにつれ、人数も増えて来て道場内の熱気はヒートアップ。
乱取りは3分(おじさん主体)で2時間程。いつも通りの乱取り開始になる。
アテネオリンピック銀メダリストの泉浩先生も参加され、高校生や大学生にご指導下さりながらも先生も乱取りを楽しまれている。
私は高段者大会を意識して、高校生や大学生らとは今回はやめ、おじさん中心に乱取り相手を選ぶ。
福井学先生には大外巻きで投げられ、試合前の対処などを研究。高田健太郎先生とは、高校生ぶりに袖釣りで投げる事が出来、自分が一番驚いたのが正直なところ。
チカラ負けで頭を下げられてからの攻防にこれも試合直前の研究材料と、確認が出来たのがありがたかった。
宮本功三先生とは、シニアマスターズ世界大会前と同じ様にガンガン追い込まれ「キツイよん…」と弱音まで出る。しかし、この時間にしっかり稽古したかったから、私としては体力的に大変であったが、乗り切って身体の動きを確認出来たのだ。
どうだろう、3分20本目あたりでラストの本数をみんなに伝える。カラー柔道衣は汗がしっかり染み込み、重いほど。この日の乱取り本数は18本ほど。
よくもそこまでやったよな、と本数をカウントしながら思った。
功三先生や高田先生、福井先生とはしっかり稽古が出来た。でも気持ちの中で、あとひとつ、とチムがドンドンし始め、乱取りラストを私が伝えた直ぐに、泉浩先生にお願いしに向かった。
泉浩先生は言葉や文章で表す事も失礼な、素晴らしいオリンピア。そんな先生に、とは思いながらも稽古を付けていただきたい、と無心でお願いに当たったのだ。
『このタイミングですか⁉️よし、追い込みしましょう‼️』私も試合を控えているので、と身体を貸して下さったのだ。
しかし。その追い込みは半端なものではない。先生が育った講道学舎の追い込みをするぞ、と始められ、強烈な3分間が開始されたのだ。
組み合って前に出て行かなくてはならない。技を掛けまくらなくてはならない。1秒たりとも休めないし、休んだ姿勢でもしたら、押される、ひっくり返される、引き上げられる…。
自分が成長期に稽古してきた、道場の一番辛い稽古と同じ。寝技が入らないだけで、ガンガンにあおられ、技を出していかなくてはならない。
『溝口圭三先生だ』泉浩先生に向かいながら、中学生の恩師を思い出す。
少しでも正座しているものならば、押されて横に倒される。すぐに立ち上がり、技を打っていかなくてはならない。『あと1分』『あと30秒』『まだ、出せる。前へ!前へ!』『あと1回掛ける』泉浩先生が大声で53歳の、こんなオッさんに真剣に向き合って下さる事の有り難さ。
《泉浩先生との、この日ラスト稽古動画》
長い長い3分が終わり、ぶっ倒れた。高校生の時より中学生の頃の方が稽古はきつかったが、まさにその時と同じ意識で倒れ込み稽古の時が走馬灯の様に掛け回った。
感謝の礼をして、この日の稽古は終了。
フラフラになった私の横に、すっと宮本功三先生が寄ってきて、耳元で囁く。
「あれが浩《泉浩先生》の愛情だよ」。本当にそう思えた。
帰りの道中、何度も何度も泉浩先生との稽古をみては、胸が熱くなる。「この動画は、宝物だ。」生涯、残しておきたい。本当に宝物だ。そう強く思った。
今、がん検査の結果問診を昭和大学藤が丘病院の待合室で書いています。
11年前は、余命宣告を受けた場所。がんステージ4末期で余命4ヶ月だと伝えられた場所。11年後に、ここまで稽古が出来るだなんて想像もつかなかった。
死ぬ事への恐怖と弱音な考えばかりで、前に向かう気持ちが無くなった場所。それがこうして今も元気に柔道稽古が出来ている。
「柔道」に感謝しかない。
順番待ちをしながら、筋肉痛の身体。でも、もう11年前の私ではないんだ、そう胸で思い、今年のがん定期検査の検査を待っています。
全国柔道高段者大会、全力で頑張ります。