【神奈川県中体連春の県央地区柔道大会】この冬からみんな頑張った結果が出て嬉しい。
吉原道場の中学生の指導を火曜日、木曜日、と冬から意識高く目標を持ち、キッチリ通ってきて先日、県央地区の試合に挑んで来ました。
全くの初心者、小学生からの経験者、今年3年生になった有段者、それぞれが各々の中学校のゼッケンを付けての試合。
今回の春季大会は夏の県大会、全国大会に繋がる地区の上位入賞者には「シード権」が与えられる大会であり、本当に集中しての稽古で挑んでくれました。
今回嬉しかった事、そして残念だった事、この極端なふたつが指導者として喜ばせてもらえたり、悩まされてしまった事がありました。
試合に勝つ。この気持ちは中学生全員がきっと持ってくれていると思います。初心者で中学の公式試合に初めて出場した生徒もいました。礼法ひとつも、ガッチガチになりながらの、初めての試合。
試合前に何度も何度も私のところへ確認しに来ては「間違っていないですよねっ」と。道場でふだん教えているのに、試合会場一面を使った中での試合は、きっと生徒に心臓ははち切れそうだったんだろうなっ、と思う。「礼」を丁寧にして開始を聞いて試合する生徒。小生の方がドキドキしてしまったのでありました。
嬉しかったこと。
嬉しかったことは、小学生高学年の頃に県強化選手で強かった生徒が思春期による反抗期なのか、柔道に気持ちが入らず、休みがちになり、一時期本当に道場で見なくなった。中学に入り、学校で部活動も始めそれが原因では無いにしろ生活態度も乱れはじめ成績も低下し保護者から相談を受けたりもした。
その生徒と向き合った。
小生なりの励ましと柔道、部活、勉強の両立を話し、その話しに耳を傾け出してくれる様になった。以後部活、柔道、勉強への全てに取り組み方が変わって来て生徒の努力が実り今回県央地区で優勝してくれた。
そんな姿を指導者として見て来た小生、保護者が喜んだのはもちろんのこと、それ以上に本人が一番目を輝かせて照れくさそうに「ありがとうございます。次も頑張ります」と言ってくれた事がたまらなく嬉しかったのだ。
ふだん中学では柔道ではなく他の運動部に所属し、必死にレギュラーを狙っていると聞く。部活動の話になると目を輝かせてしっかりとした声で話してくれる。メールもたくさんくれる。
その気持ちを私は大切にさせ、柔道で活かせる様な意識、筋力、モチベーションの持続を持たす事に努めた。
技術的な事は、いくらでも後から追加プラス追加で指導する事が出来る。しかし、モチベーションの低い生徒には何を伝えても取得しようとする意識が少ないので、なかなか反応が鈍くなるのだ。
ヤンチャなこの生徒は口数も少なく、小6の頃はどう接して良いのか正直私も分からなかった。しかし、中1の最初の試合で屈辱的なことを受け、そこから小生が生徒の不安や悩み、ストレス、などを聞く様になり、向き合ってくれる様になってから柔道への気持ちも大きくなってくれたのだろうと思いたい。
哀しかったこと。
逆に哀しかった事もあった。日々、その保護者ともよく話し、生徒への近況などもしっかりと伝えて来たのだが、その生徒のモチベーションを下げてしまう結果が今回の試合になってしまったのだ。
「体重管理」これである。柔道の階級は体重で分けられており、その生徒は階級申請する際、マイナス1kgであったので、実は安心していた。保護者との連絡の中で、私はしつこいくらいに体重管理の話しをさせてもらった、それについて「大丈夫です」を保護者から何度も聞いており、道場でも口酸っぱく伝えて来たので保護者と本人を信用した。しかし最悪の結果に。
なんと当日プラス1kgでの会場入り。
私は慌てた。計量時間までの40分、とにかく私は計量通過に向け生徒を動かせた。それだけで既に生徒のモチベーションは下がりまくり。
無理矢理、いやギリギリで計量をパスした時には、これから「試合だ」と言う意欲は全く見られず、当然本来生徒の持つパフォーマンスなど出せるはずはなかった。
勝つ、だけが目標ではないと言えど、それまで上位入賞を目指し道場生全員で努力して来た。保護者とも特に体重管理のある生徒には口うるさく伝えて来たつもりであった。
しかし、試合後にその保護者と話をした際「うちの子はメンタルが弱いから…」の一点張り。
私は思う…。「メンタルがなぜ弱いと決めつける。試合にひとつでも勝つ喜びを持たせてあげたら、弱いメンタルも引き上げられるではないか。最初から最高のパフォーマンスを出させてあげられなかったのは我々大人のミスではないか。」
正直、この生徒保護者からの言葉には落胆した。
生徒は必死に試合へ向け稽古を重ねて来た。得意な技も伸びて来ている。試合が楽しみであった。なぜ稽古も見ずに「うちの子はメンタルが弱いから」と言ってしまうのだろうか。
「稽古を見てやって下さい」私は何度も伝えたが、見る事はなく、道場へ来ては私に「うちの子はこうなんです。ああなんです。どうしましょう」としか言わない。もっと生徒と保護者が膝を合わせて向き合い、親身になって欲しかった…そう思えて哀しくて仕方がない。指導者として勝つ喜びをもっと多く持たせてあげたかった。それが私は出来なかった。申し訳ないばかりだ。
しかし、その生徒は道場に来なくなり、サボり挙句の果てには「うちの子はメンタルが弱いから辞めます」と去って言ってしまった。もう少し話したかった。しかし、結果だけを見るだけや、日常の生活で柔道が合わない、と決めつける保護者もどうだろうか、と問いたい。もう一度、その生徒が道場に来てくれたら、もっとたくさんのケアをしてあげたい気持ちでいっぱいである。
今、地域中学生は期末試験前で「道場には来るな!試験に集中しよう!」と伝えてある。ただ道場へ来て汗を流し勉強も集中したい、という生徒には思いっきり身体を貸す様にしている。
こういったメリハリをしっかり出来る生徒は柔道も勉強もはっきり伸長が確認出来る。全員がその意識に向いてくれるまで、小生は中学生と向き合っていきたい。
保護者が思っている以上に、生徒達は自意識を強く持ってくれています。わかってもらいたい…。