【アングリングvol.167〜流れの賢いマスを釣る❗️】2000年10月1日発行
当時勤めていた会社から静岡県沼津市迄はおおよそ1時間半。会社から東名高速道路の厚木インターまで10分、高速道路間は1時間、沼津インターで降りてコンビニで弁当を買って港に向かっても1時間半有れば十分な距離。
こんな道のりだったので通いやすさも人気のうちの一つでありました。勘七丸さんに通う様になったのは1996年頃から。
相模湾でシイラを楽しむ夏であったが、厚木市と言う職場位置は予想以上に目の前に感じる相模湾以上に高速道路を利用し静岡エリアへ足を伸ばす人が多かった。
お店の常連さんから声を掛けてもらい勘七丸にお邪魔する様になり、いつしかあの雰囲気にどっぷりハマる様になっていた。
最初の頃は大船長が操船しシイラやカツオを追ってくれていた。後に船の新艇が出来、大船長と若船長(今の船長で、私と同い年)の2船出しで沼津沖一帯の釣りを楽しませて下さった。
3月からはマダイ。大型マダイのノッコミが始まり、夜は太刀魚ジギング。夏に近付くとシイラ狙いで熱くなり夜はバラムツ、アブラソコムツゲーム。秋はカツオ、メジとなり、そして夜は太刀魚とバラムツのセットゲームとなる。
どの釣りも好んでお邪魔してきたが、やはりシイラ、カツオ、メジ、太刀魚、バラムツ、どんな場面でも大船長の存在が私には大き過ぎた。
口調は船の上では正直怖いくらい。しかし移動中にポツリ、ポツリと話してくれる説明は優しさの塊。なぜ沼津沖は釣れるのか、なぜこの魚がこの時期回遊してくるのか。なぜ、なぜ、なぜを全て教えて下さる。
メタルジグをキャストして狙うメジ狙いは、捕食しているベイトの動きやサイズなど厳しく指摘され、現状をみる(読む)目を鍛えられた。ジグの投入位置は直径2mズレたら指摘される。着水と同時のベール返しやサミングフォールを慎重にやらなければ、指摘。
常に『平松!平松!』とご指導下さった。
晴れたナギの日、フライングブリッジに上げてくれた船長。魚を探しながら水持ちしているシイラを見つけたり、片足だけの長靴にメーターオーバーのシイラが大量に付いていた時など、「なぜ?」を言葉でかみ砕いて話してくれ、私の引き出しに入れてくれていたのだ。
大好きだった大船長。お正月には毎年タチウオのみりん干しをわざわざ厚木まで山盛り持ってきて下さり、たっぷり食べさせていただきました。
『平松!平松!タチウオ食べろ。焼き過ぎるなよ。ウミャアからな。』大船長のニコニコした船上では絶対に見られない笑顔で私を盛り上げて下さった。
そのタチウオ一夜干しを若船長がFacebookに投稿されており、私はたまらなくコメントを入れさせていただきました。
その流れで若船長の奥様からタチウオ一夜干しを送ってもらい、我が家で食べさせてもらった。女房も味をしっかりと覚えており美味しい、美味しい、と。私はひと口頬張り、涙が止まりませんでした。
あの変わらない大船長の味が、我が家の食卓にあったのです。嬉しかった。
会いたかったけど、会えなかった大船長が食卓で『もっと食べろ。ほら食べろ』と言ってくださっている錯覚すら覚えた一瞬でした。それが沼津の味であり、沼津で学んだ釣りでした。
本文にはそうしたテクニック的な内容を含んだ釣行記で綴られています。
勘七丸ファンの方には特に読み直してもらいたい文章でしたよ。私はこれを読んで夏に行きたくてウズウズしてしまっています。
【データ】
誌名:アングリング vol.167
出版社:株式会社廣済堂出版
編集長:伊藤 裕
毎月10日発行
2000年10月1日発行