西側に出た。初日の上対馬、二日目の下対馬豆酘崎、見事なまでの大場所で極端な程の最悪を食らってしまったのだ。
最終日はまだ陽が昇らない時間から出港した。天気予報は午後から凪が一気に変わり、大時化予報。風が16m吹く予報は、寂しくも釣りにならない事を意味している。
早く沖に出て、交わし前の潮から狙う事にした。
郷崎沖魚礁からスタート。まだ風は出ていない。緩やかな潮が流れて、このままであれば、面白くなりそうな予感。
しかし、予感は当たらず、これまでの二日間と何ら変わらない様子に焦りが隠せない。これはアングラーだけでなく、船長も同じ事。
目星を付けたポイントで結果が出ないのが一番キツいはず。どうにか結果を出したいと必死にしゃくるのだが…。
郷崎を諦め、美園沖に走った。段々と辺りは雲が厚くなってきている。9時になり掛けた頃には、ポツリ、ポツリと雨が落ちてきた。みんなレインジャケットを着用し始める。
この日、カッパ着ての釣りだから覚悟ね、と最初からの話になっていた。天候変化のスピードは予想より早く、あっという間に大粒の雨になった。その瞬間、厚い雲の隙間から強烈なイナビカリ。
稲光りと雷音が交互に起き、大粒の雨が海面を叩き始めた。「慶、これはヤバいぞ」大船長がいよいよ口を開く。
判断は私。郷崎前でキャストでも…と言ってみたが、若船長から「慶さん、ドンピシャ方向でカミナリが落ちましたよ」と。もうどうしようもない。
あまりにも危ないから引き返した方が良いだろう、と話し合い、3日目は西側上対馬での釣りで断念となったのでした。
これも釣り。自然相手の釣りだけに、危険を伴ってはいけない。またお金を貯めて出直せば良い。きっとその時は良い釣りが出来るだろう。
そう自身に言い聞かせて、みんなに帰港を伝え納得してもらい、今回の対馬ヒラマサツアーはロッドオフとなったのでした。
港に戻ると、春田母さんが待ってくれていた。対馬の街でも土砂降りで落雷が激しかった様子を話してくれた。
こんなタイミングもあるんだなぁ、とある意味諦めが付く状況を聞き、静かに竿を片付けたのでした。
春の対馬、これにて終了。
春は三寒四温と天候もコロコロ変わり、アングラー泣かせの季節ですが、対馬海域には、魚がやっぱり多い。それをいかに釣りきるか。
釣りに入るタイミングの難しさ、奥深さを改めて思い知る3日間となったのでした。また出直し。その目標も楽しみにしたい。