【釣れるメタルジグの選択論】平松慶はジグセレクトをこう考える。

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【釣れるメタルジグの選択論】平松慶はジグセレクトをこう考える。

最近、あらためてジギングのことを様々な場面で聞かれる様になりました。日本ジギング創世記からジギングをやってきた私目線での考え方を少し書き残しておきたいと思います。

対象魚はマグロ、カンパチ、ヒラマサ、ブリ…それぞれに狙い方の違いはありますが「ジギング」というジャンルを大きく括ってのお話をしていきたいと思います。

パタゴニア

【ジギングとは…】

今や、何百、いや何千とメタルジグの種類は世の中にリリースされています。私だけでもこれまでリリースしてきたメタルジグは何機種、何サイズになったことか…。

私がオフショゲームを始めて30年。これまで相当な数のメタルジグ開発やテストに携わってきました。

むかし話をすれば、私がオフショアジギングを始めた頃は【MADE IN JAPAN】製メタルジグはヨーヅリ社、ヤマシタ社しか無かった。それも輸出品としてであり、そもそも日本の海域で《ジギング》と言う文化が浸透しておらず、創世記時代だった。

それを北村秀行さん(チャーマス)が廣済堂出版の吉本万里編集長と可能性を求めて媒体で発表し続け、そこからの今がある。 

メタルジグって、ナマリ(一部で鉄、アルミ、タングステン等の素材もあります)に着色し魚に似せたものが一般的なメタルジグになっています。

ジギングは狙う魚の層に疑似餌(メタルジグ)を泳がせ、動きで魚を狙うというスタイルになります。ここで必要になってくるのが「擬似餌なだけにジグを餌(魚)のように動かす」という行動が必要になってきます。

自身が描いた動きに魚がヒットした時の快感がジギングフィッシングの一番の醍醐味、喜びなのかもしれませんね。これを求めて「ジギング」という楽しみが親しまれているのです。

【ジギングのスタイル】

では、具体的に「ジギング」というスタイルを分析してみたいと思います。ジギングは大きく分けて2つのジャンルに分かれる探り方があります。

一つはメタルジグをしゃくり上げて食わす(A)。一つはメタルジグを落として(フォール)寄せて食わす(B)。この2つになります。

どちらも使うタックルはスピニングタックル、ベイトタックルで行う事が可能です。

(A)のメタルジグをしゃくり上げて誘うスタイルは、一般的にはスピニングタックルが主流になっています。もちろんワンピッチアクションを行うのにベイトタックルでも十分可能です。ベイトタックルの方が慣れている方も多いと思います。

(B)はスローピッチジャークと呼ばれるスタイルが主流で、ベイトタックルが一般的には多くのアングラーが好まれていますが、中にはスピニングタックルでやっているベテランアングラーの方もいます。

この(A)と(B)のスタイルはどのようにメタルジグを操作させてヒットに持ち込むかという部分が重要であり、そして「メタルジグの動き」が把握していなければ成立しない釣りになります。

メタルジグが水中でどのように泳いでいるのか、ここを理解することでジギングのスタイルや釣果へと繋がっていきます。

【泳ぐ姿勢】

最初に「エサが追われる、逃げる、動き」をどの様に演出するか。これをまず思い描いてください。ターゲットは何を捕食しているのか。ターゲットはどの層で捕食しているのか。重ねて考えるのはまず、ここでしょう。

シイラのキャスティングゲームはジギングに精通した狙い方が出来るゲームです。

シイラはどんな場所につくのか。潮目、ブイ、流れもの(流木や大きなゴミ)、ベイトボール、そういった環境でシイラを狙っていくのですが、それは捕食をするために身を隠して生息する環境です。

潮目を狙う際、最初にポッパーなど水飛沫の音でシイラを探り寄せます。ブイや流れものは小魚(ベイト)が群れて身を守りながら生活する環境で捕食しやすい状況につく。

イワシなどの群れを狙い、フィッシュイーターがそれを応用にして出来るベイトボールは更に水鳥などからも攻撃を受ける。ナブラとなり水面までシイラなどに持ち上げられての状況になるのですが、こうしたシイラを狙う環境が全てにおいて「ジギング」と比例した狙い方に繋がっているのです。

キャスティングゲームは水平を意識したサーフェスな見方。ジギングは縦の環境を考えて探るバーチカルな見方。メタルジグをボトムからベイトが居る中層までしゃくりながら探るスタイルです。

そこで大きく分けた二つの狙い方で展開する様にしています。

【ジャーク・誘い】

まずは、メタルジグをワンピッチジャークによって、引き続けるスタイル。これを「線の動作」として私は分析しています。

一定に近いリズムでメタルジグをしゃくりながら誘い、狙いの層が通過したら再びメタルジグを落としていく。そしてしゃくりが始まる。

これに対して、自身が狙いたい層でしゃくりながら誘ってきたメタルジグを止めてやり、メタルジグの水中姿勢をベイトが動く横姿勢を意図的に作り上げるホバーリングを入れてやる。

魚にとって「食いの間」を作ってやる狙い方。これを私は「点の動作」と称してメタルジグの形状に合わせた狙い方の展開をし、使い分けています。

魚の活性が高い時は、潮が流れているタイミング。これはよくわかっています。ただ、元気のよいサイズも捕食パターンに入っているため、サイズを選ぶ事は難しい。ベイトも潮が流れていれば、活性は上がっていますからね。

【潮流と捕食】

では、潮の流れ始めと緩んできて潮が止まる直近時は、どうなっているのか。元気の良い若者サイズは潮が流れているタイミングでベイトを追いまくる。

潮が始まる、緩むタイミングはベイトの動きも緩くなり、インパクトのある瞬発力のあるサイズが無駄な体力を使わずに、しかし体型に合わせて量を捕食する。これが水中下で起きている食物連鎖、捕食の関係といえるのです。

これを理解して、メタルジグの形状やアクションの仕方などを当てはめていく事により、アングラーもより効率的に、そしてゲーム性を高くして「ジギング」を組み立てていけるのです。

【ジギングのイメージ】

先に出したジギングのスタイル(A)(B)でイメージを組んでもらうなら【線の動作】を(A)、【点の動作】を(B)として使い分けるイメージをしゃくりながら使い分けてみる。

ベイトタックルでもスピニングタックルでも、どちらを選択しても可能で、アクションに対して使い分けるイメージを重視するのです。

もうひとつ頭に入れてもらいたいのが、狙っている魚が如何に捕食しやすいか、という事です。

私はダイビングをして水中でメタルジグの動きを研究してきました。その際に、ベイトとなる魚、フィッシュイーター、他に根魚やアオリイカ、タコなどの動きを見てきました。人間の動きの感覚からいえば、水中で見える魚類、甲殻類など思っている以上に相当速い動きになっています。

当たり前ですが、捕食されそうな場面はスピードの感覚が違います。

一方、我々がメタルジグをしゃくる際、どれほどのスピードがジグに与えられているのでしょうか。自然界の動きにはないノロさだと思います。

ですから、時にメタルジグをイレギュラーな動きにさせて口を使わす。攻撃本能を刺激させる。威嚇(いかく)姿勢を作ってやる…といった、動きの中での瞬発力な変化を取り入れてやる事が重要になってくるのです。

潮が動いているタイミングで、一定のワンピッチを続けての「ヒット」は、魚に活性がある、捕食モードになっているからなのです。

大型を狙い撃ちしたい時ほど、魚が今何を求めているのかを考え、一定ではないアクションで口を使わせるのが一歩先のジギングの面白さといえます。

潮流が強い場面で早く着底させたい、潮の始まり終わり手前にインパクトを入れたアクションで良型を食わせたい、それぞれに使うメタルジグの特性、形状を吟味し狙ってもらえると更なるジギングの面白さが広がる事をお伝えします。

パタゴニア

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