まだ霧が残っている屈斜路湖に到着した時に、すでに分かりやすいインレット際には道内以外からも多くの車が駐車され賑わいをみせていた。
私達はそんな大場所を避け、奥に向かいます。
屈斜路湖。
霧が晴れた瞬間から美しい紅葉が湖畔に写り秋を感じさせます。
一昨年前に入った時にヒメマスゲームで感じた事は、ヒメマスの「捕食習性」なのか、産卵を控えた状態にある「威嚇(いかく)習性」なのか、の検証が楽しみであった。
昨年は数に恵まれず、そこまでの理論が問えなかったのだが、今年はヒメマスがなぜ口を使うかを知りたかった。それを頭に置いて入水する。
辺りには誰もいない場所。ゆっくり歩きながら湖面をみる。小さなワカサギが時にナブラの様に湧き上がり逃げる様子。それを捕食しようとするフィッシュイーター。
眼から得る様子だけでもワクワクします。
私は湖岸沿いにルアーをキャスト。5cm程の小さなシンキングミノーからスタート。
ルアーを通すライン上にワカサギが暴れる。すぐにヒット。ファーストキャッチはウグイ。ベイトを追い回していたのだろう。
再びキャストを繰り返す。
立ち込んだ足元をみると、紅く婚姻色に染まったヒメマスのペアーがウロウロしている。魚影は濃い。水面でモジリがある場所を選んでルアーをキャスト。
再び、ウグイ先輩がヒットする。「クッシャロボーン」ですね、と西森隊長。
二連発のウグイを得て、考えてみた。
目の前にはいくつもペアリングしているヒメマス達が泳いでいる。恋愛雰囲気をみていると、ペアで泳いでいるモノと、そのペアにオスがちょっかいを出す様な動きをしているモノとがある。
2尾のペアーと3尾のモノとに、ルアーを投げて反応を伺ってみた。
すると、2尾のモノはあまり雄のヒメマスもルアーには反応しなかったのだが、3尾のスクールに対しては、やたらとルアーを意識している。
それならば、とカラーを変え反応をみて、次にルアー自体の動きの特徴を変えて変化を観察。
ミノーでウォブリングタイプとローリングタイプのアクション差にヒントが見えてきた。
ローリングタイプの動きのミノーには、あまり興味を示さない。逆にウォブリングタイプの様な、ボディー全体を動かして派手な動きのモノに対しては必要以上にルアーを意識する。
3尾のスクールによる結果だ。
ローリングタイプの様な、ルアー自体にボディーラインを崩さない動きよりも、水波動を発すウォブリングタイプの動きの方が間違いなく3尾が攻撃なのかな、威嚇態勢に入る。
そして、雄のヒメマスがルアーを追い払おうと動くのだ。何かのヒントが見えてきた。
この検証した動きを沖に向けて実証してみる。
ミノーが着水する。少しカウントダウンさせ、ミノーにより激しい動きをロッドティップで与えてやる。引く動きよりもお尻を派手に動かす様なイメージを作り出しながら誘ってみる。
「グッ‼️」ウグイ先輩ではないバイト。動画で発している「本物だ!」はコレなのだ。
ペアリングに加わろうとしている個体なのだろうか、検証通りの動きにすぐに反応してきた。2尾目、3尾目、と立て続けでヒメマスをヒット。
読めてきたぞ。これは面白い。
それからは、同じ形状のミノーでカラーを変えて探り、カウントダウンの層をズラして狙っていく。明らかに答えが絞られてきた。
この時点でヒメマスをキャッチしているのは、私だけ。西森隊長はフライで狙っていたので、捕食耐性の強い「クッシャロボーン」の餌食になっており、望月さんは悩みながらの釣りを展開。
身体が冷えてきたのでコーヒータイムを挟み、再びトライ。やはり、釣れるのは私だけで午前中のゲームを終了。
ポイント移動と昼食をする。セイコーマートで購入したカップ麺とおにぎりがお昼ごはん。お湯を沸かし、ゆっくりした時間に気持ちが和む。
次のポイントは、更に奥へと向かった。誰もわからないだろう、小さなインレット。そこを狙う。
午前中、不調だった望月さんに最初を狙ってもらう。なんと、60cmをゆうに超えるアメマスがファーストヒット。これで望月さんのモチベーションも上がる。
さあ、私もゲーム開始。
先のポイントよりも明らかに魚影が濃い。ルアーアクションを変える事でクッシャロボーン(ウグイ)からのバイトも減り、威嚇攻撃性パターンで次々とヒメマスが当たってきた。
「平松さん、完全に魚(ヒメマス)をみえてますね」と西森隊長が言ってくれる。嬉しい褒め言葉に喜ぶ。
このポイントでも明らかに食わせるストーリーが出来上がった。
結果的に10本のヒメマスをキャッチし、そのどれもが「こうして探り、こう食わす」と言った組み立ての中で得た釣果。これにはしびれたよ。
ほんと楽しかったし、嬉しかった。
自分で魚(ヒメマス)の行動を読み、試して検証する。ルアーを変えても、動きもカラーを合わせる事で先に書いた「威嚇攻撃」への口使いに繋がる事がわかり、これ以上ない満足感で釣りを終えたのでした。
ただ無謀に投げて、釣れた結果を喜ぶだけでなく、対象魚のその時のコンディションを把握し、状況に合わせた狙い方が出来た事が、またひとつ《平鱒渓》を成長させたのではないだろうか。
トラウトフィッシング、まだ4年生。学びの時間を満喫しています。
「釣れたんじゃない、釣ったんだ。」これを常に追求し釣りを楽しみたい。