長崎県対馬。ここは20代後半から通い始め、常にヒラマサと向き合わさせていただいた、私のヒラマサ釣りの道場の様な場所。
30代、40代は沖縄本島、長崎県対馬(玄界灘)、インドネシアに没頭した時代でもありました。
海の勉強を徹底的に学ばせていただいたフィールドです。
対馬で学んだヒラマサ釣りを伊豆の海で確認する。沖縄本島で学んだGTゲームをインドネシアで確認する。こうした、常に魚と海との向き合いによるスタイルが今の私を作り上げてくれたのだろうと思っています。
今年53歳になり、30代40代の頃に比べて釣行回数は減りました。しかし、50代になりフィールドに立った時に見えてくる様々な海の様子は、若い頃の経験があったからだと強く思っています。
こうした経験が今の自分の糧になって、引き出しを増やしてくれたのは、本当に宝物であり、財産だと感じています。
そんな大切なフィールドが今大変な事に直面しているのをここ数年で感じていた…。
玄界灘は親潮となる黒潮と東シナ海が重なり合い対馬暖流となって日本海側に昇っていく。玄界灘からの暖流の恵みで隣国である韓国エリアでのジギングにも着目し、よく通ったものだ。
対馬で得た引き出しを開き、その技術で韓国でヒラマサジギングのブームの貢献もしてきた。
ヒラマサをメタルジグで釣るというスタイルは隣国でもあったが、現地のスタイルは10年以上前の雰囲気と言っても過言ではなかった。それ程に釣り技術は当時はなく、最先端でリードしていた日本ジギングスタイルは隣国でも注目されていたのも事実。
韓国釣り雑誌に私が表紙を飾ったのは、日本人で初めてだ、と韓国の釣りジャーナリストが驚いていた。それほどに隣国でありながら、釣りのスタイルが違っていたのには驚くばかりであった事を記憶している。
対馬(玄界灘)で学んだスタイル。これがあるから今の私で居られるのだ、とあらためて実感する。そんな対馬は近年海の様子が変わり始めている。
20代の頃(今から30年程前)から考えると、ヒラマサやブリの生息環境も変化を感じる様になってきた。地球温暖化による、ヒラマサやブリの繁殖期のズレ、捕食するエサ(ベイト)の量や種類の変化、魚の居着く場所などだ。
更に言えば、漁師が毎年期間を決めて素潜り漁で捕るアワビやサザエといった海産物の生息や、ひじきや海藻類の減少も30年を振り返ると極端に現象をしている。明らかな磯焼け(磯荒れ)によるもの。
その原因の一つに釣り人が撒く「撒き餌」に含まれている防腐剤によるもの。撒き餌自体は自然環境下において他の生物が捕食しているのだが、防腐剤を直接かけられる海藻類にとっては、発育不振などにより生態系自体が変わって来てしまう。
磯で育つ海藻類が魚貝類の餌にもなり、隠れ家にもなり、大切な魚貝類の生息域になっていたが、この環境も壊されてきているのだ。
こうした人為的行為も原因に起こる磯焼け、更には海流がもたらした漂流物からの海岸破壊に恐怖を感じ始めてきた。
青物の様な回遊魚は海水温や餌(ベイト)の豊富さで動き回る。
マグロやカツオの様な回遊魚と、ブリやヒラマサと言った魚類だ。外洋系行動が中心となるマグロやカツオなどは、生息域にテリトリーを固定しない行動に対し、ブリやヒラマサは群れで行動はするが自分のテリトリーを持った捕食態勢で生存している。
ブリ以上にヒラマサはその行動は顕著だ。
私は長い年数で愛する対馬の海域を見てきた。船上から見える巨大な発泡スチロールの山や、ペットボトル、プラスチック容器が海岸に重なる様に寄せ上げられている姿は、見るに耐えなかった。流れ着いたプラスチックゴミの大半は、隣国から流れ着いたもの。
特に対馬西側の海岸には想像を絶する姿が今も当たり前の様に目に入ってくる。
御園、峰沖はアワビの素潜り漁が盛んであり、漁師はそのゴミをかき分けて海に向かうのも事実。こうした背景に危機感を感じている時にパタゴニア日本支社スタッフより現在活動している対馬の海ゴミをクリーンにするだけでなく、そのプラスチックゴミを再利用しようとする行動を聞かせていただいた。
対馬西側の海岸に打ち上げられたプラスチックゴミの撤去作業は、漁協が中心となり美化行動を行っています。その際に集められたプラスチックゴミを対馬市役所が動き、クリーンセンターへと運ばれる事も知った。
確認のため、対馬西側の漁師に連絡し聞いてみると、やはり定期的に海岸ゴミ撤去作業を組合で行っていると教えてくれた。こうした事実をより多くの人に知ってもらいたいと思うと同時に、私を育ててくた海への恩返しもしていかなくてはならないのだ、と言う使命も湧いてきた。
あまりにも汚いプラスチックゴミに占領された、対馬の西海岸。
一昨年前にこれからどの様な行動をしていきたいか、と言うストーリーも大まかパタゴニア日本支社スタッフから聞かせてもらった。確実に行動に移っているのを知ったのは、先月。
一昨年前のプラスチックゴミを再利用しようと動いてきた、処理済破片から、更に再利用可能なチップへと処理環境が整ってきた事実。
私は漠然としか考えられなかった再利用方法が、より具体的になっていたのだ。こうした行動は対馬市役所の協力のもと、パタゴニア日本支社さんとアウトドアYAMAPさんの熱意で実現されたのです。
対馬海洋プラスチックゴミ問題。今回は対馬で起きている問題にクローズアップした書き方をしましたが、愛する海域に私も微力ながら応援をさせてもらいたいとこの先行動に移していきたいと考えています。
今年、対馬で片付けられた海洋プラスチックゴミを再利用してオーナメント(装飾品)を作りクリスマスツリーが伊藤忠商事本社ロビーに飾られた、とNewsで知った。
また、この海洋プラスチックゴミで買い物カゴを作り、対馬のコンビニで使われているのは、私が現地で買い物をする際に知った。
少しずつ、ゆっくりとリサイクルの動きが始まっています。もっともっと意識を変え、環境問題に目を向けていきたいと思っています。
【関係リンク】
※ミライメディア 海洋ごみの再資源化 挑む野武士 対馬発 社会課題を解決してビジネスにhttps://miraimedia.asahi.com/terrace_01/
※海プラごみのクリスマスツリーhttps://www.sankei.com/article/20221212-26HZSRUDZ5IIJPMZN25JJC3CJI/